薬剤師母の理系な子育て

パート薬剤師母です。幼児教育に興味があります。息子は年少。夫は文系。

AIが将来子どもたちの仕事を奪う?【AI vs 教科書が読めない子どもたちを読んで】


AI vs.教科書が読めない子どもたち [ 新井 紀子 ]

 

テレビで林修先生が絶賛していてた話題の本です。AI入門書としてはよかったのですが、読後感はスッキリせず、もやもやが残りました。

 

その理由は、(私の思い違いかもしれないけど)

  • シンギュラリティ(人間の力をまったく借りずに自分自身よりも能力の高いAIを作り出すことのできる地点)は来ない。
  • 今の中高生の半分以上は教科書が読めない。
  • AIはMARCH大学に合格する力はあるが、東大に合格することは永遠に不可能である。

数学者である筆者の主張が、断言するほど根拠が強いと思えなかったからです。

 

この本の主旨は、AIはただの計算機なので、意味を理解できない。よって読解力がなく人間の能力を超えることができない。それならAIは恐るるに足らずなのではと思うが、大規模調査の結果、読解力の低下により半分以上の学生が教科書を読めていない。つまり意味を理解できないAIと同じレベル、それ以下のレベルになっている。このままではAIができない仕事ができる人材が不足し失業者が溢れる危機的状況だと警告しています。

 

中高生の読解力が低下している?

全国2万5千人の基礎読解力を調査したところ子供たちの読解力が低く教科書の内容が理解できていないというのです。独自の調査から日本の中高生の読解力は危機的と言ってよい状況にあると述べています。

実際に調査に使われた問題が以下のものです。

 

次の文を読みなさい。

Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称でもあるが、男性のAlexanderの愛称でもある。

 

この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。

 

Alexandraの愛称は(  )である。

①Alex

②Alexander

③男性

④女性

 

正解①

 

中学生の正答率は38%、④の誤答が39%で正解の①より多く選ばれていました。

愛称という言葉を知らないから、知らない単語が出てくるとそれを飛ばして読むという読みの習性があるためと筆者は分析していました。しかし果たして全員がそうだったのか?問題慣れしていないことやケアレスミス(実際設問の仕方が回りくどいと感じる)の可能性についての考察がされておらず、この調査結果だけで今の中高生が教科書が読めていないという結論に至るには早計ではないかと感じました。

 

残念ながら読解力向上のために何をすべきかよいのかについてはまだわかっていないということでした。

調査でわかったことは

  • 読書の好き嫌い、科目の得意不得意、1日のスマートフォンの利用時間や学習時間、新聞の購読の有無などの自己申告結果と基礎読解力に相関はなかった。
  • 貧困家庭では読解力が低くなった。など

 

読書量も関係ないとすると、どう教育すべきか答えが見えません。唯一の手がかりは貧困と読解力に相関があることです。

著者はたった2件の個人的な体験から読解力はいくつになっても養えると述べていましたが、そのように判断するのにはデータが足りないので、読解力の低下の原因と向上のためにどうすれば良いのかさらなる調査を行い、是非とも解明して頂きたいです。

 

全雇用者の半数が仕事を失う?

オックスフォード大学の研究チームが予測したコンピューター(AI)化によって10年から20年後に残る仕事、なくなる仕事は以下の通りです。

 

10〜20年後になくなる職業トップ25

電話販売員、手縫いの仕立て屋、保険業者、データ入力作業員、受注係、スポーツの審判員、銀行の窓口係、税務申告代行者(順不同)  なと

 

10~20年後まで残る職業トップ25

レクリエーション療法士、危機管理責任者、メンタルヘルス・薬物ソーシャルワーカー、聴覚訓練士、作業療法士、歯科医、内科医、外科医、小中学校の教育管理者、臨床心理士(順不同) など

 

残る仕事の共通点は、コミュニケーション能力や理解力が求められる仕事、柔軟な判断力が求められる肉体労働、高度な読解力と常識、加えて人間らしい柔軟な判断が要求される分野。一聞いて十を知る能力や応用力、フレームに囚われない発想力が重要とのことでした。

 

AI出現で薬剤師はどうなる?

薬剤師はなくなる仕事トップ25には入っていませんでした。10〜20年後に薬剤師の仕事がAIによって奪われる可能性は1.2%とのことです。これは医師と同等レベルの社会的地位があるアメリカの薬剤師のことを指しているので、日本の薬剤師だと1.2%よりも高い数値になると思われます。

よく将来薬剤師は不要になると言われていますが、著者もAI導入で淘汰される企業として処方箋薬局あげていました。

おくすり手帳などで薬剤師が管理するかわりに、保険証をICカードにして投薬履歴を管理し、AIが薬の副作用の可能性をチェックしたり、ジェネリック薬の有無の情報を提供したりするシステムにしたほうが確実で、しかも、手数料は不要だからという理由です。

たしかにその通りなのですが、現場で働いている立場から申し上げると、すぐにそういったシステムができるとは思いません。保険証に個人情報を入れるとなると法律を変えなければなりませんが、薬局業界団体の圧力がかかり覆すことは難しい状況だと思います。薬剤師の未来は明るいとは言えませんが、今の日本だと色々な規制が多く、法律はなかなか変えられないので真っ先に淘汰されるとは考えにくいです。

 

まとめ

勉強になって面白かったのですが、主観的な意見を述べていると感じる部分もあり不満も残りました。シンギュラリティはこない(AIが人間の力を借りずに何でもできることはない)という筆者の主張も穿った見方をしてしまい、素直に信用することができなかったので、ほかのAI関連本も読んでみたいです。

著者はAIに代替されない人材は意味を理解する能力を持った人で、人間にしかできないことを考え、実行に移していくことが私たちが生き延びる道だと述べていました。

著者の考える未来予想図がとてもネガティブなものでしたが、人間の知恵でAIとうまく共存できる世界になってほしい…希望的観測ですが。息子が大人になる頃には技術革新によって社会や価値観などが激変すると予想されるので、柔軟に対応していかなければならないとも思いました。

参考https://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf