気鋭のビジネスリーダーたちはわが子をどう育てているのか【「子育て経営学」を読んで】
40代以下の第一線で活躍する男性ビジネスリーダー10人の子育て論をまとめた「子育て経営学」
若い経営者やプロフェッショナルの方々は、子育てに対する考え方も最先端で面白く、参考になりました。
子育て経営学 気鋭のビジネスリーダーたちはわが子をどう育てているのか [ 宮本恵理子 ]
彼らの子育て論は十人十色でしたが、いくつか共通点も見られました。特に印象的だった部分を抜粋し、まとめました。
①オンとオフを分けず、柔軟に働く
プライベートと仕事を分けて考えず、働くと育てるを自由に行き来する感覚を持つ傾向が見られた。柔軟に働くことで、子どもと向き合う時間を確保できる。
- 仕事現場を見ることも勉強になると思って、長男を中国出張に連れて行った。先方から許可を取り会議に同席させた。(ソラコム社長 玉川憲氏)
- 子連れ出勤をOKにした。オフィスにキッズスペースがあり、社長である自分も子連れで働いた。(ソウエクスペリエンス社長 西村琢氏)
②共働きは当たり前
ビジネスリーダーの奥様は、バリキャリ率が高め。妻も夫と同じように多忙だからこそ、対等なパートナーシップとして、子育ての分担が進んだと考えられる。夫婦でお互いの仕事やキャリアについて語り合っているという。
- 管理職として活躍する女性の先輩方が、お子さんをしっかりと教育していたり、豊かな生活を送っているのを見てきた。僕もそんな家庭を目指したいと思っていた。だから独身の頃からバリバリ活躍している女性と結婚したいという願望があった。(スペースマーケット社長 重松大輔氏)
③家事や子育ての一部を外注する
家事代行サービス、シッターを活用したり、両親(子供の祖父母)やパパ友らと協力しあうことで、共働きの子育てにおける人手不足を解消する。子供が親が育てるものという固定観念は捨て去り、子供は社会全体で育てた方が良く育つと前向きに考えている。
- 家事の手間をいかに省くかを考え、家事代行兼シッターさんに週3回来てもらっている。おかげで夫婦の負担やストレスが減っている。(ノバルティスファーマ社長 綱島一成氏)
- 英語を話すフィリピンシッターを雇って、色んな違いのある属性の人とどうかかわっていくかというスキルを身につけられた。英会話教室にかようより深い勉強ができていると思う。(建築デザイン事務所noiz代表 豊田啓介氏)
④多様性ある環境で学ばせる
意外にも小学校受験はせずに、公立小に通わせているご家庭が多かった。人種、生活背景などの多様性を学んでほしいと考えている。
- 私立の小学校からの一貫校だと、同質性の高い環境になりがち。様々な属性やタイプが入り混じるカオスの中で、子どもは異と交わるリーダーシップを獲得していくのではないか。(入山章栄氏)
- 本当は、数年単位で学校も自由に移れたらいいのにと思っている。子どもが主体となって学校を選ぶ転校システムがあったら、公立も私立もより教育の質を磨こうとするのではないか(重松大輔氏)
⑤グローバル教育は前向きに検討
今は日本で教育を受けているが、将来的には海外での教育を検討しているという意見が多かった。
- 日本の国内市場が今後、縮小するのは確実なので、できれば第3か国語も話せるようになってもらいたい。長男はインターナショナルの保育園に通わせていて、平日の日中は英語ばかりの生活を送っている。(綱場一成氏)
- 乳幼児のころから海外旅行にはハワイ、オーストラリアやアメリカなどに連れて行った。今後はまずサマースクールのような短期のプログラムを体験させたい。ただし、海外の言語や文化を吸収するのは、日本語をしっかり固めたあとのほうがよいと考えているので、本格的な留学は高校以降にさせる予定。(ガイア社長 中桐啓貴氏)
まとめ
「子育て経営学」は男性ビジネスリーダーのインタビュー収録のみだったので、個人的に女性側の子育て論も聞いてみたかったです。
そして、以下の綱場一成氏のご意見には妙に納得をしてしまいました。
子育てで生じる様々な役割は、「プランニング」と「オペレーション」に分かれるのだと気が付いた。例えば、朝起きたら、急に子供が発熱して病院に連れて行かなければならないとき、「8時に小児科に寄って、病児保育を予約して…」と戦略を立てる役割と、それを実行する役割が違う。大半の家庭では、戦略を練るプランニングは妻が担当し、夫はやったとしても実行役のみ、というパターンだと思う。
オペレーション担当の夫からすると「俺も半分は子育てはやっている」と思っていても、問題解決における役割の重要度はプランニングの方が高い、ですから、「私はこれだけやっているのにあなたは」「いや俺だってこんなにやっている」という衝突が生まれる。
→我が家も似たような衝突があったので…私は短時間パートなので、夫が一家の大黒柱として働いていることには感謝していますが、目に見えない家事や育児(プランニング)もあるんだよ~とは言いたいです。愚痴っぽくなりましたが、お互い自分の方が大変だと思いがちなので、その辺は夫婦で色々と擦り合わせていくしかありませんね。
経済的観点からいくと、家事育児で女性が働く時間を制限されるのは非効率的であり、子育てシェアの分野はビジネスチャンスとしても大きいというご意見もありました。このままだと専業主婦はますます減っていくのかな…?
仕事と育児で、自分の自由時間がほとんどない共働き夫婦(主に女性?)も多くいらっしゃると思いますが、夫婦ともに時間に縛らない働き方を実践できるような企業が増えていけば、女性だけでなく、男性にとっても子育てのハードルが下がるはずです。こういった社会に影響を与えるビジネスリーダーたちが柔軟な働き方を推進することで、より子育てしやすい社会に変えていってほしいと感じました。